保護者の皆様にお願いしたいこと
園での集団生活の中でも、お友達と仲良く活動に取り組み、大変落ち着いているお子さんの保護者に「落ち着いていて、とてもしっかりしたお子さんですね。」と話しかけると、10人いれば10人全員が、次の様に同じ返事をされます。
「え~、本当ですか!? うちでは、甘えん坊で我がままばかり言うんですよ。」
ご家庭で、たっぷりと甘えることができ、心が満たされているお子さんは、朝からくずることなく登園し、集団の中でお友達や先生と適切な関係を保ち、落ち着いて活動に取り組むことができるのです。
親の役目
人間もふくめ、全ての動物の務めは、我が子が自分の力で生きていく(自立)力を養うことにあります。
人の発達において最も大切なことは、生後3か月までの保護者の関わりです。その後も脳の発達が爆発的に進み、最初の1年間で60%、3歳までに80%、小学校入学時には90%完了することが脳科学の発達により判っています。
乳幼児にとって特に必要な刺激は、保護者との濃密な時間(アイコンタクト、言葉かけ、抱擁、授乳など)であり、健全な愛着形成ができている子どもは、安心感・自己肯定感が育まれ、その後、各種能力の獲得もスムーズに進みます。
どうぞ、お仕事がお休みの時、夕方の団欒や入浴時の会話、お休み前のひと時などお子さまとの濃密なコミュニケーションの時間をたっぷりとってあげてください。
本 能
人間には、様々な欲求がありますが、当然、必ず叶うものではなく、幼いこどもであっても、時として我慢を強いられることもありますし、むやみに欲求を満たすことが適切ではないケースもあります。
但し、人間の本能である食欲と睡眠欲だけは、十分満たされていなければ、健全な発達が望めないどころか、生命の危機に瀕する場合もあるほど重要なものなのです。
特に、心身ともにその後の人生の基礎を形成する乳幼児期には、ただ食べれば良い、寝れば良いというものではなく、一定の質・量の確保が求められています。
例えば、睡眠時間一つとっても、健全な発達のためには、生後0~3か月で14~17時間、4~11か月では12~15時間、1~2歳児11~14時間、3~5歳児10~13時間、小学生9~11時間の睡眠時間が推奨されています。(アメリカ国立睡眠財団)こども自身が、質や量の調整が出来ない以上、大人のライフスタイルにこどもを巻き込むのではなく、こどもを取り巻く全ての大人たちが協力して、こども中心の生活リズムにしてあげてください。
ヘネシー澄子先生 東京福祉大学名誉教授 社会福祉学博士 米国コロラド州在住
国内外の大学・専門機関で愛着についての講演や愛着障害治療の研修、資生堂社会福祉事業財団の子育て支援サイト(はぐりぃ・らぶりぃ)の監修など、高い専門性を生かして、日米両国で精力的に活躍されているヘネシー先生に、本園のアドバイザーをお願いし、毎年、職員・保護者対象の研修会を実施しています